マイナス金利になると、預金から利息がとられるようになるの?


2016年1月29日、日銀は金融政策決定会合で、日本で初めてのマイナス金利の導入を
決定した。
金融機関が日銀に預けている当座預金の一部の金利を0.1%から、マイナス0.1%に引き下げる。市中の銀行が貯蓄に回していた分を消費刺激や投資に誘導するのが目的。

個人が銀行に預けている預金には、定期的に利息がつくものという認識で、お金を預けている人が大半です。銀行預金に利息がつくのは、銀行にお金を預けて、このお金をもとに銀行はお金を貸し出して金利を課しているからです。お金を借りた人から銀行は金利をもらい、その金利の一部が預金者に還元されています。政策金利をマイナスにすると、この流れが逆になるのではないかという疑問がわきます

では、政策金利がマイナスになると、利息が付くどころか、利息をとられてしまうようになるのだろうか。
いまのところは金融機関が日銀に預けている当座預金の一部に対してマイナス金利が課されるだけで、個人預金にマイナス金利が課されるわけではありません。ただしこの先も利下げが実施されて、マイナス金利となった当座預金からの利息収入が減り、貸出金利が下がることで銀行の売上が減少すれば何らかの形で預金者にしわ寄せがくる可能性はあります。

現在、デンマークやスウェーデン、スイスではマイナス金利を導入していますが、取次騒ぎがおこる恐れがあることから、多くの銀行は個人預金まではマイナス金利にしていないそうです。ただしスイスの大手銀行では大口顧客に対してマイナス金利を設定、一部の中銀ではすべての預金金利をマイナス0.125に設定したところもある。

お金を貯金する最大の理由は、将来不安に備えるためです。将来不安が解消されない限り、これが消費に回ることはあり得ません。利息がとられると知れば預金者は早く銀行から預金を引き出して安全な場所に保管したいと思うでしょう。あるいは利息のとられない銀行に移し替えたいと考えるでしょう。消費に回るよりも取り次ぎ騒ぎが起きる可能性のほうが高くなると考えられます。